みなさん、製薬会社って聞いて何を思い浮かべますか?
薬を作ってるのかな?病院や薬局に薬を売りに行っているのかな?
といったところでしょうか。
自分たちの業界での常識や当たり前だと思っていることは一歩外に出れば全くの非常識なんてこともあります。みなさんにも製薬会社について知ってもらいたいですし、将来就職する学生や転職を考えている方に興味を持っていただきたいと思います。自身のこれまでのキャリアを振り返る意味合いも踏まえて紹介させていただきます。
ちなみに、私の現勤務先と勤務経験があるのは「医療用医薬品」「新薬メーカー」という分類です。
製薬会社にも色んな種類がある
製薬業界には、数多くのメーカー(製薬会社)があり各社で企業規模はもちろん、取り扱う医薬品の種類や事業内容、資本などが違います。
企業の種類の分け方はいくつか考えられますが、ここでは以下のように分類してみます。
《扱う医薬品の種類による企業の分類》
《外資系・内資系(国内)による企業の分類》
- 外資系メーカー
- 内資系(国内)メーカー
扱う医薬品の種類による企業の分類
医療用医薬品メーカー
国内における医薬品売上の約9割は医療用医薬品となっており、市場が大きなことが特徴です。
医療用医薬品とは病院や開業医で投薬・処方されたり、処方箋を持っていき調剤薬局でもらうお薬のことです。またその薬の中でも「新薬」と「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」に分けられます。
新薬メーカー
新薬の開発には、新しい成分の有効性・安全性を研究し、国の承認を受けるために10年以上の時間がかかり、数百億円以上の莫大な開発費が必要です。
また必ずしも開発が成功するわけではない厳しい世界です。しかし開発がうまくいけば特許取得し一定期間独占販売が可能となります。
非常に大きな利益を生み出せる可能性があることから、大手新薬メーカーは新薬の研究開発に力を入れています。
しかし現在、日本では医療費削減を目的に薬価引き下げの傾向が続いており、国内製薬会社の多くが海外販売に力を入れ市場のグローバル化が特徴です。外資系企業との買収や薬剤提携・ベンチャー企業の買収を通して、ゲノム医療や再生医療などの分野へ力を入れている企業も増えています。
また近年のジェネリック医薬品市場拡大の流れで、新薬開発をあわせて、次に紹介する「ジェネリック医薬品」の製造・販売を行う新薬メーカーが増えているのも特徴です。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)メーカー
「ジェネリック医薬品」といわれる「後発医薬品」を主力商品として扱う製薬会社はここ10数年で一気に増えた印象です。
製薬会社で開発された新薬は、特許期間が「20年」(ただし、製薬会社が申請すれば、5年を上限に特許の延長が認められます)
この期間が終わったあとに、同じ有効成分を用い、新薬と効能・効果、用法・用量が同じ医薬品として製造・販売されるのがジェネリック医薬品です。
ジェネリック医薬品は新薬と同じ有効成分を用いて開発されることから、開発プロセスを大幅に省略でき、開発コストも少なくて済みます。
このことから、ジェネリック医薬品は新薬よりも安価で販売されており、現在、国は医療費抑制としてジェネリック医薬品への切り替えを推奨しておりジェネリック市場は今後ますます伸びていくことが予想されています。
OTC医療メーカー
医療現場で処方・投薬される医療用医薬品に対し、ドラッグストアなどで販売されているのが「OTC医薬品」です。
OTC医薬品市場は、医療用医薬品市場に比べて小さいですが、一般の人々にとってはなじみ深い商品が多いと思います。(ガスター10 バファリン ベンザブロックなど)
2017年から「セルフメディケーション税制」が導入され、個人が健康管理や軽い病気の緩和などを目的として所定のOTC医薬品を購入した場合、その費用について所得控除を受けることができるようになっています。医療費削減を目的に国も色々な対策を打っています。
高齢化社会が進み、医療費削減が進められる現代社会において、OTC医薬品の存在価値は増しています。
外資系・内資系(国内)による企業の分類
外資系の製薬会社
最近ではM&Aが進み、国内製薬会社の数は少なくなっている一方、外国の資本が入った「外資系製薬会社」の存在感が大きいです。
製薬業界において、アメリカ市場が世界最大です。
外資系製薬会社の大手企業としては、スイスのロシュやノバルティス、アメリカのファイザー、フランスのサノフィ、イギリスのアストラゼネカがあります。
外資系製薬会社は日本の製薬会社よりも規模が大きく、圧倒的な売上高を誇り、莫大な開発費を投入し世界の新薬創出をリードする存在である製薬会社は「メガ・ファーマ」と呼ばれ、国内製薬会社も買収や提携を進めています。
ちなみに2019年と1年前のデータですが、世界で最も売れた医薬品は、米アッヴィの抗TNFα抗体「ヒュミラ」2位は米ブリストル・マイヤーズスクイブと米ファイザーの抗凝固薬「エリキュース」で、3位は米メルクの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」でした。
内資系(国内)製薬会社
外資系製薬会社でない、日本国内の製薬会社も数多くあります。
医療用医薬品の大手企業は、武田薬品工業、大塚ホールディングス、アステラス製薬などで、武田薬品工業は2019年にアイルランドシェイアーを買収し、世界トップ10入りをしました。
またアステラス製薬は医療用医薬品に特化、同じく大手である第一三共や各社が巨額の研究開発費を投じて、新薬開発を進めています。
2019年度の国内売上高トップは1358億円MSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」2位はファイザーの疼痛治療薬「リリカ」、3位は中外製薬の抗がん剤「アバスチン」。
また近年では後発医薬品(ジェネリック医薬品)に力を入れる国内製薬会社も増えてきています。
日本ブログ村ランキングに参加しています!
最後にクリックしていただけたら嬉しいです♪(^_-)-☆